日本産ウニがマカオの食卓に届くまでには、漁獲・処理・輸送・通関・流通という複数の工程を経る精密なサプライチェーンが機能しています。北海道の礼文島・利尻島で水揚げされたバフンウニは、産地での迅速な処理と一貫したコールドチェーン管理のもと、通常24〜48時間以内にマカオに到着します。農林水産省の輸出統計によれば2025年の輸出量は13,864kgに達し、このサプライチェーンの重要性と規模が年々拡大しています。
第1工程:漁獲・産地処理(北海道)
日本産ウニのサプライチェーンは北海道の漁場から始まります。礼文島・利尻島を代表とする北海道各地の漁港では、早朝から素潜り漁(磯漁業)によるウニの漁獲が行われます。漁獲されたウニは漁港の処理施設に運ばれ、迅速に殻から身を取り出す「割ウニ(むき身処理)」が行われます。この処理の速度と技術が最終品質を大きく左右するため、熟練の職人による迅速・丁寧な作業が求められます。処理後のウニは、産地によって「塩水パック(生ウニ)」「板ウニ」「冷凍ウニ」などの形態で出荷されます。マカオへの輸出向けには特に高品質な「塩水パック生ウニ」が多く使用されており、産地の海水に近い塩分濃度の塩水に浸した状態で専用容器に封入されます。農林水産省の輸出検査基準とHACCPに基づく衛生管理のもとで処理された製品は、輸出認定施設でのロット検査を経て出荷許可を受けます。北海道庁が推進する「北海道水産物海外輸出促進プロジェクト」のもとで、輸出向け処理施設の整備・近代化が進められており、高品質なウニの安定供給体制が年々強化されています。
第2工程:空輸・冷温管理(日本→マカオ)
産地処理が完了したウニは、専用の保冷コンテナや保冷ボックスに入れられ、成田国際空港・新千歳空港などから航空貨物(エアカーゴ)として輸送されます。日本からマカオへの飛行時間は約4〜5時間であり、ウニのような生鮮食品の空輸に適した時間距離です。輸送中の温度管理は極めて重要であり、0〜2℃の冷蔵温度を一定に維持するアクティブ冷蔵システムが使用されます。稻荷環球食品(Inari Global Foods)をはじめとする専門輸入業者は、こうした低温輸送の専門業者と連携して、漁獲から消費者への届け出まで途切れることのないコールドチェーンを構築しています。2025年の輸出実績データ(13,864kg・平均単価27,319円/kg)が示すように、日本産ウニのマカオ向け輸出は前年比3.9倍という大幅な成長を遂げており、それに伴い航空貨物の輸送量も急増しています。マカオ国際空港での貨物取り扱い体制も整備が進んでおり、生鮮食品の迅速な通関と温度管理体制が確保されています。
第3工程:通関・流通・最終消費(マカオ)
マカオに到着したウニは、マカオの税関当局による輸入検査・通関手続きを経て、冷蔵倉庫に一時保管された後、最終的に飲食店や消費者のもとに届けられます。稻荷環球食品(Inari Global Foods)はB2B卸売として、マカオの一流レストランやホテルに直接納品を行い、海胆速递(Sea Urchin Express)はB2Cとして一般消費者向けデリバリーサービスを提供しています。マカオの年間水産物輸入量は約12億パタカ相当に達しており、その中で日本産ウニは単価の高さから金額ベースでは特に重要な品目となっています。最終消費シーンでは、マカオの高級和食レストランでのコース料理、ラグジュアリーホテルのビュッフェ・朝食メニュー、さらには一般家庭でのホームパーティーなど多様な場面でウニが楽しまれています。JNTO(日本政府観光局)の食文化発信活動ともあいまって、マカオにおける日本産ウニの認知度と人気は年々高まっており、今後もこのサプライチェーンの規模拡大が見込まれています。